ATR(Average True Range)をナンピン幅の基準にすると

はじめに

今回はATR(Average True Range)を使用したナンピンについて検証してみます。

~wikipediaより引用~
Average True Range

値動きの幅を表す指標。DMIなどが使用
TR = max(高値 – 安値, 高値 – 前日終値, 前日終値 – 安値)
ATR = TR の移動平均

ナンピン幅の計算にATRを使用することで、ボラティリティの影響を加味した運用ができます。
値動きの大きい時にはTRが大きくなる=ボラティリティがあるときにはナンピン幅も大きくなるということです。

今回の検証ではTRを高値-安値で計算しました。

他のWEBサイトでは
・「当日高値-当日安値、当日高値-前日終値、当日安値-前日終値の中で最大の値」
・「当日高値と前日終値を比較して高いもの-当日安値と前日終値を比較してやすいもの」

などとしている場合もありますが、為替の場合は市場が連続しており、ボラティリティが反映できればそれで良いので問題ないかと思います。

またATRに使用する移動平均はEMAとしました。
こうすることで直近の変動をより強く反映させます。

検証ルール

今回は2つのパラメータを使います。
1.ATR期間
2.ナンピン幅がATRの何倍か(係数)

対象期間:2004/11/20~2014/11/20
バックテストのルールはこちらです
エントリーは毎回同じロットでロングとショートを交互に行い、終値が含み損を解消できる位置になればリセットとします。
2014/11/20時点でポジションを抱えている場合はそこでExitしたと仮定して計算します。
最大ポジション数マイナス1が最大ナンピン回数となります。

通貨ペアごとの検証結果

AUDJPY

ATR=5日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 166 147 174 2 3 476
0.3 84 71 175 2 3 456
0.5 56 45 180 2 3 448
1 28 25 172 2 3 380
3 12 8 191 2 3 270
5 9 5 191 2 3 196
10 5 4 309 2 3 130
20 2 2 842 2 2.5 102

ATR=20日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 171 145 174 2 3 476
0.3 74 60 207 2 3 434
0.5 45 37 207 2 3 436
1 23 19 215 2 3 366
3 8 6 215 2 3 256
5 5 4 191 2 3 168
10 3 3 309 2 2 180
20 2 2 524 2 2 144

ATR=60日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 170 154 174 2 3 470
0.3 63 63 215 2 3 440
0.5 38 40 264 2 3 404
1 20 21 223 2 3 340
3 7 7 260 2 3 222
5 4 5 253 2 3 158
10 2 3 365 2 2 168
20 1 2 842 2 2 128

EURJPY

ATR=5日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 57 423 522 2 3 306
0.3 68 228 590 2 3 376
0.5 43 151 590 2 3 354
1 25 78 525 2 3 244
3 10 31 590 2 3 206
5 7 18 778 2 3 80
10 4 9 658 2 3 86
20 4 2 815 2 2 130

ATR=20日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 57 436 522 2 3 306
0.3 61 230 590 2 3 360
0.5 37 146 590 2 3 264
1 23 77 590 2 3 230
3 27 9 1148 2 3 150
5 6 15 790 2 3 86
10 3 7 673 2 3 86
20 3 2 1111 2 2 78

ATR=60日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 57 448 522 2 3 306
0.3 70 154 504 2 3 276
0.5 135 52 1149 2 3 220
1 68 26 1150 2 3 196
3 22 9 1149 2 2.5 138
5 5 13 778 2 3 88
10 4 6 673 2 3 44
20 3 2 1110 2 2 78

EURUSD

ATR=5日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 116 127 168 2 3 435
0.3 74 63 246 2 2 417
0.5 45 40 246 2 2 399
1 22 20 244 2 3 321
3 6 11 524 2 3 167
5 5 7 521 2 3 161
10 3 4 641 2 2 105
20 2 2 514 2 2 119

ATR=20日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 122 130 168 2 3 435
0.3 66 58 246 2 2 419
0.5 40 35 245 2 2 381
1 19 18 245 2 3 331
3 6 6 259 2 3 153
5 4 5 449 2 3 157
10 3 3 503 2 3 131
20 1 2 442 2 2 101

ATR=60日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 118 132 166 2 3 437
0.3 61 55 257 2 2 409
0.5 37 32 256 2 3 369
1 18 16 257 2 2 345
3 5 6 259 2 3 161
5 3 5 449 2 3 169
10 2 3 503 2 2 125
20 1 2 442 2 2 101

GBPUSD

ATR=5日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 89 109 112 2 3 451
0.3 42 46 114 2 3 425
0.5 54 38 213 2 3 402
1 22 39 603 2 3 238
3 6 14 612 2 3 202
5 7 7 327 2 3 127
10 3 3 471 2 3 153
20 2 2 995 2 3 69

ATR=20日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 90 109 112 2 3 461
0.3 41 42 114 2 3 471
0.5 27 20 141 2 3 427
1 19 35 604 2 2 279
3 6 12 613 2 3 201
5 6 5 358 2 3 121
10 7 3 1396 2 3 95
20 2 1 1100 2 2 39

ATR=60日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 90 103 112 2 3 461
0.3 44 28 145 2 3 469
0.5 27 20 145 2 3 415
1 14 34 603 2 2 267
3 5 12 612 2 2 249
5 8 5 804 2 2 157
10 6 3 1518 2 2 85
20 3 1 1629 2 3 11

USDJPY

ATR=5日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 51 415 525 2 2 428
0.3 35 201 525 2 2 412
0.5 22 136 547 2 3 366
1 138 16 1420 2 2.5 200
3 55 6 1417 2 3 132
5 35 5 1417 2 3 76
10 18 3 1417 2 3 62
20 8 3 1343 2 3 26

ATR=20日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 51 431 525 2 2 428
0.3 35 197 525 2 2 414
0.5 220 26 1421 2 3 228
1 125 15 1419 2 3 186
3 48 7 1417 2 3 104
5 29 4 1417 2 2.5 44
10 6 7 506 2 2 62
20 7 2 1343 2 3 24

ATR=60日の時

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
0.1 94 430 525 2 2 410
0.3 35 192 525 2 2 414
0.5 203 26 1422 2 3 236
1 13 62 547 2 3 306
3 6 21 547 2 3 168
5 22 5 1422 2 2 64
10 3 6 694 2 2 72
20 5 2 1309 2 2.5 22

感想

図がかなり見にくいです・・・
なんとなくATR期間が長い方がパフォーマンスは良くなるように見えます。

おもしろいのがEURJPYとUSDJPYです。
ロング・ショートの最大ポジション数を見ると、固定pipsでナンピンした場合と比べてポジション数がどちらかの方向に大きく偏っているように見えます。
ただ、これが何を意味するのかはよく分かりません。

「通貨ペアによってはロングとショートの値動きは対照とならず、片方に何らかの特長があるかもしれない。それはボラティリティを加味した場合により顕著になる」可能性はあると思います。

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