直近○○日の標準偏差を基にナンピンする

はじめに

ナンピン幅の検証、第5回は標準偏差を基準にした場合です。

前回の記事で書いたように、為替のリスク(変動)は一般的に標準偏差で表されます。

そしてリスクは
・通貨ペアによって大きく異なる
・同じ通貨ペアでも時期によって大きく異なる
ことが分かっています(そりゃそうだ)

ということは、直近○○日のデータから標準偏差を測定し、それを基準としたナンピン幅を設定することで
・通貨ペアに依存せず
・固定した数値でナンピンするよりも柔軟性がある(過剰最適化を避けられる)
戦略になるのではないかと考えました。

検証ルール

リスクは突如拡大する傾向にあるため標準偏差を測定する期間をあまり長くすると直近での大きな変動を反映することができません。
直近の動きを反映させるためにはEMAのように直近に重みをつけて平滑化すればいいのですが、今回は単純にデータ期間を変えて見るだけにします。

直近5日、25日、125日のデータで標準偏差を測定して比較します。
直近終値×標準偏差(1日当たり)×係数の幅でナンピンしていくことによってボラティリティの影響を加味したナンピン幅にすることができると期待します。

対象期間:2004/11/20~2014/11/20
バックテストのルールはこちらです
エントリーは毎回同じロットでロングとショートを交互に行い、終値が含み損を解消できる位置になればリセットとします。
2014/11/20時点でポジションを抱えている場合はそこでExitしたと仮定して計算します。
最大ポジション数マイナス1が最大ナンピン回数となります。

通貨ペアごとの検証結果

AUDJPY

直近5日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 56 45 180 2 3 406
3 25 19 178 2 3 334
5 16 12 167 2 3 298
7 13 10 196 2 3 260
9 11 10 196 2 3 218
10 10 9 169 2 3 228
30 5 5 198 2 3 188
50 4 3 309 2 2 168
70 2 5 581 2 2.5 96
90 3 4 498 2 2 104

直近25日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 41 30 214 2 3 388
3 14 10 209 2 3 294
5 9 9 309 2 3 210
7 6 10 622 2 3 140
9 5 4 313 2 2.5 178
10 5 5 313 2 3 134
30 1 2 845 2 2 122
50 1 2 862 2 2 114
70 1 1 862 2 2 114
90 1 1 862 2 2 114

直近125日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 29 34 371 2 3 358
3 10 10 427 2 3 220
5 6 6 309 2 2 214
7 5 5 311 2 3 174
9 6 4 692 2 3 112
10 5 4 692 2 3 106
30 3 2 842 2 2 122
50 3 1 862 2 2 114
70 3 1 862 2 2 114
90 3 1 862 2 2 114

EURJPY

直近5日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 45 154 590 2 3 322
3 22 75 590 2 3 204
5 16 53 590 2 3 244
7 13 41 525 2 3 168
9 10 34 525 2 2 180
10 10 31 525 2 3 182
30 5 16 823 2 3 76
50 3 10 830 2 2.5 82
70 3 4 843 2 2 126
90 4 3 1124 2 2 78

直近25日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 34 132 590 2 3 238
3 14 47 590 2 3 202
5 9 29 590 2 3 158
7 8 19 830 2 3 78
9 18 6 1139 2 2 138
10 6 14 842 2 2 70
30 3 3 843 2 2 68
50 2 2 845 2 3 38
70 2 2 1128 2 2 68
90 1 1 1028 2 2.5 58

直近125日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 17 73 602 2 3 230
3 8 31 603 2 3 196
5 6 21 604 2 3 158
7 4 14 604 2 2.5 138
9 4 11 843 2 3 66
10 4 10 844 2 3 94
30 2 3 845 2 3 52
50 2 1 856 2 2 108
70 2 1 1028 2 2.5 58
90 2 1 1028 2 2.5 58

EURUSD

直近5日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 38 37 245 2 2 415
3 15 16 244 2 2 295
5 10 8 178 2 2 273
7 7 7 178 2 3 243
9 5 13 657 2 2 201
10 10 6 417 2 3 177
30 3 4 654 2 3 109
50 2 3 514 2 3 127
70 1 2 514 2 2 119
90 1 2 503 2 2 115

直近25日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 30 29 246 2 3 381
3 6 11 246 2 2 237
5 4 11 512 2 3 149
7 6 8 509 2 3 143
9 3 5 395 2 3 145
10 3 4 269 2 3 179
30 1 2 503 2 2 115
50 1 1 517 2 2 117
70 1 1 517 2 2 117
90 1 1 517 2 2 117

直近125日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 37 25 256 2 2 377
3 10 9 256 2 3 249
5 6 10 657 2 3 167
7 5 7 657 2 2 165
9 4 6 657 2 3 105
10 3 3 274 2 3 149
30 1 2 503 2 2 115
50 1 1 517 2 2 117
70 1 1 517 2 2 117
90 1 1 517 2 2 117

GBPUSD

直近5日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 22 65 254 2 3 380
3 18 29 259 2 3 254
5 13 11 205 2 3 237
7 16 14 257 2 3 195
9 11 14 612 2 3 185
10 8 12 613 2 2 167
30 5 5 259 2 3 173
50 4 3 327 2 3 147
70 3 3 313 2 3 163
90 2 2 446 2 3 141

直近25日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 23 47 259 2 3 376
3 8 16 257 2 3 284
5 9 10 258 2 3 247
7 7 7 319 2 3 199
9 8 6 717 2 2 127
10 5 5 360 2 3 179
30 2 2 360 2 3 159
50 1 1 1582 2 3 27
70 1 1 1582 2 3 27
90 1 1 1582 2 3 27

直近125日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 23 16 153 2 3 372
3 8 11 257 2 2 266
5 18 6 1411 2 3 97
7 13 5 1534 2 2 83
9 10 4 1587 2 2 71
10 9 4 1534 2 2 79
30 3 2 1591 2 2 69
50 3 1 1582 2 2 51
70 3 1 1582 2 2 51
90 3 1 1582 2 2 51

USDJPY

直近5日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 25 135 547 2 3 352
3 116 13 1421 2 3 174
5 12 42 546 2 3 198
7 9 33 547 2 3 198
9 12 28 547 2 2 140
10 12 26 547 2 2.5 150
30 9 10 525 2 2 48
50 13 3 1343 2 2.5 38
70 11 3 1340 2 3 26
90 9 2 1299 2 2.5 28

直近25日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 204 24 1420 2 3 168
3 10 35 525 2 3 228
5 43 5 1422 2 3 108
7 31 6 1422 2 2 70
9 6 12 525 2 3 98
10 8 10 522 2 2.5 80
30 6 2 1350 2 2 48
50 4 2 1364 2 4 14
70 2 1 1130 2 3 48
90 2 1 1130 2 3 48

直近125日の標準偏差を使用

係数 最大ポジション数(L) 最大ポジション数(S)  期間(最長)  期間(最短)  期間(中央値)  取引回数
1 21 95 525 2 3 332
3 8 33 525 2 2 274
5 6 21 547 2 3 142
7 6 15 525 2 3 100
9 16 4 1432 2 2 76
10 6 10 522 2 2 92
30 4 2 1365 2 3 46
50 2 1 1130 2 3 48
70 2 1 1127 2 3 54
90 2 1 1543 2 5 24

感想

パラメータを増やすとその分表の数も増えて分かりにくいですね。
ナンピン幅の検証が一段落ついたらグラフにしてそれぞれの手法を比較してみようと思います。

とりあえず検証してみて感じたことを書いておきます。

1.カーブフィッティングが避けられてる?

あくまで固定pipsでナンピンする場合と比べてですが。

次の図はEURUSDをナンピンする際に固定pips基準と25日間標準偏差基準でナンピンした場合の最大ポジション数と最長期間をグラフにしたものです。

EURUSD 固定pips基準

EURUSD 25日標準偏差基準a

縦軸が同じくらいになるように調整しました。
どちらも係数が大きくなるほどナンピン幅も大きくなるので最大保有数は減っていきますが、どうでしょう?
標準偏差基準の方がより滑らかに減っているように見えると思います。

このことから、数値によるカーブフィッティングが固定pipsに比べて起こりにくいのではないかと想像できます。

2.算出期間の短い方がよりカーブフィッティングしやすい?

EURUSDで標準偏差の算出期間を5日と125日で出した場合を見てみます。

EURUSD 5日標準偏差基準-比較用

EURUSD 125日標準偏差基準-比較用

直近5日の標準偏差を利用する場合より直近125日の標準偏差を利用した方が係数の増加とナンピン回数の関係が滑らかになっています。
これは算出期間を長くすればその分変動による影響が平滑化されるからです。
ただ長くすればするほど結局固定pipsでナンピンするのと変わらないことになります。

かといって期間を短くするのも考え物です。
算出期間があまりに短いと数値が小さい場合に連続してナンピンすることになりナンピン回数がやたら多くなるからです。

検証前は「1日ごとにナンピン幅が最適化されるので、変動が大きな時はナンピン幅をより広く、小さな時にはより狭くとることができカーブフィッティングに強いシステムになる」と考えていましたが、結局固定値を採用した場合と比べてどれだけ優位なのかは疑問に感じました。

特に係数を小さくするとボラティリティのない時にナンピン回数がかなり増えてしまうのが悩みの種です。
もっとも、この問題はナンピン幅の分析すべてに言えることですが・・・

「変動が少ない時は普通の間隔でナンピン、変動が激しい時はそれに応じてナンピン幅を拡大する」というシステムの方がいいかもしれないです。

今回はここまでです。

書評
FXで究極の海外投資 為替変動に左右されない金利貯蓄型運用 (現代の錬金術師シリーズ)
Amazonで詳細を見る
FXで究極の海外投資 為替変動に左右されない金利貯蓄型運用
結喜たろう(著),北山広京(監修)
★★★★☆(4/5)
FXを初めた頃に誰もが陥る罠がいくつかあります。
「高金利通貨を保有してほったらかしでスワップを受け取ろう」というのもそのうちの一つです。
リーマンショック前までは非常に人気のあったスワップ派はその後の暴落で壊滅的な打撃を受けました。
本書は大多数が行っていたスワップ戦略は誤った認識に基づく手法であると主張し、金融工学の知識を使った正しいやり方について教えてくれます。
「スワップを収益の源泉とするためにはリスク(変動)は最小化するべき、そのために何をすればいいのか」ということを、標準偏差、相関係数、モダンポートフォリオという考え方を使って丁寧に解説しています。
本書を購入した読者はパンローリングのWebサイトから「リスク分析ツール」というソフトをDLでき、本書で学んだ内容を実運用に落とし込めるようになっています。
このソフトはEXCELで作られているのですが、私は始めてこれを見たときに「EXCELでここまでできるのか!」と非常に感動しました。それくらいよくできています。
書籍とほぼ同じ内容のHPがありますので、一度見てみると良いと思います。
「スワップ派のためのFXポートフォリオ」

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

   
直近○○日の標準偏差を基にナンピンする
ページ先頭へ