ソーシャルゲームと新興不動産

先日、知り合いとご飯を食べていた時に

ちょっと思ったことがあったので書いておきます。

その人は1年ほど前から株式投資(長期)を始めたらしく、

主にソーシャルゲーム関連銘柄で利益を上げているとのことでした。

そしてソーシャルゲームは儲かるのでこれからも長く持ち続けようと考えているそうです。

私は普段、投資をしていることは人に言わないようにしているので

ただ話にフムフムと頷くだけでした。

話の中で、その人はしきりに「任天堂って本当馬鹿だよなー」と言っていました。

要はソーシャルゲームがこれだけ儲かることが分かっているのに、

従来のビジネスモデルに固執して身動きがとれなくなっているという論調です。

私はゲーム業界に特別明るいわけではありませんので

そのこと自体に感想はなかったのですが、

話を聞いているうちにふと違和感を感じました。

「この感じ、どこかで経験したことがあるような気がする・・・」と。

私が投資を始めたばかりの2006年頃、当時は小泉政権下での景気絶頂期でした。

投資銀行や新興不動産といった業種が非常に好成績を出している中、

株で儲けたという別人が同じようなことを話していたのです。

「これからは投資銀行の時代だよ。不動産もファンド組成して物件を横流した方が儲かるんだよ。一から作るなんて時代遅れだよ、○○不動産(どの会社か忘れました)はそこが分かってないんだよ。」 

その後のリーマンショックにより証券化スキームの問題が認知され、

新興不動産や不動産ファンドが資金難で次々に倒産していったのは周知の事実です。

金森重樹さんという方の著書を読んだ時に

不動産業について印象に残る話がありました。

たしかこの本だったと思います。

著者はいわゆる新興不動産で働いていた時期があり、

上場~倒産までを見てきて生き残る不動産会社の条件に気づいたそうです。

そもそも不動産業というのは好景気なら非常に儲かるが、ひとたび景気が悪くなると

ほとんどの企業がつぶれてしまう構造となっており、

・体力(資金)があること

・他社と比べて有利な情報を持っていること

という条件をクリアしなければ最後まで生き残るのは難しいとのことでした。

だから景気が悪化した時には鉄道子会社以外の新興不動産は

すべてつぶれてしまうとのことでした。

そしてこの流れは昔から周期的に繰り返されているそうです。

業界に長くいる人がいないからあまり認知されていないだけだと。

今はまだソーシャルゲームを取り巻く状況は良いのかもしれません。

魅力的なタイトルを出せばそれに乗っかる人がいてデータにお金を払ってくれる。

APPランキングなんかを見ると、大きな売上を上げているのはほぼソーシャルゲームです。

しかし、ゲームをしない私がランキングを見て感じるのは「タイトルが多すぎる」ということです。

ソーシャルゲームというのは参入障壁の低い業界です。

ゲームシステムを丸パクリしてもキャラクターさえ変えてやればビジネスとして成り立ってしまいます。

今は大手だけでなく新興のゲーム会社も次々にこの業界に参入してきています。

タイトルが次々に乱立されたその先には何が起こるのでしょうか?

リソースには限りがあります。

不動産であれば、収益があがる物件が無限にあるわけじゃない

ソシャゲであれば、収益があがる人間が無限にいるわけじゃない

収益の源泉が刈り尽され、競争が激化した後に待っているのは利益率の低下と無謀な開発案件です。

そして状況が究極的に悪化した際、最後まで生き残るゲーム会社の条件は不動産業界の場合に似ていて

・体力があるところ

・他社と比べて有利な状況=良質なコンテンツを持っていること

になるのではないでしょうか。

良質なコンテンツとはつまり、新しいタイトルを出せば一定数顧客が見込めるということです。

そのゲームに寄ってくる根強いファンがいること。

ゲーム会社は何種類も違うゲームを出すのではなく

固定客をつかみ、息の長いゲームにするためにより資源を投入すべきではないでしょうか。

そして長期投資家としては直近の利益率が高いというだけの理由でその企業を選ぶのではなく、

そのゲームがどれだけ息の長いゲームになるのか、

会社がそのためにどのような施策を行っているのかまで見極めるべきではないでしょうか。

そうしないと今後来ると思われる景気後退期に、持っている株がいち早く電子屑になる可能性があります。

一発当てただけの新興企業なんて景気が悪くなるとすぐつぶれるんですから。

なんだか要領を得ない文章になってしまいました。

言いたかったことは、

・ソーシャルゲーム関連銘柄の盛り上がり方は、2006年頃の新興不動産・不動産ファンド銘柄の盛り上がり方に似ている気がする。

・ソーシャルゲーム業界は今は確かにイケイケかもしれない。しかし利益を上げることを優先するあまり固定客作りを怠った会社は後々苦しい思いをすることになると思う。新興ゲーム会社の将来性について過度な期待はしない方がいいと思う。

ということです。

戯言は以上です、久しぶりにブログ書いて疲れました。

早く帰ってパズドラしよっと。

書評
エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ(東大卒医師が教える科学的「株」投資術 復刻版)
Amazonで詳細を見る
エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ
KAPPA(著)
★★★★★(5/5)
旧題は『東大卒医師が教える科学的「株」投資術』というちょっと怪しげなタイトルでした。
紙の方は絶版となりましたが著者本人がKindleで出しています。
プレミアムがついてAmazonマーケットプレイスで一時期40倍くらいの値段になったそうです、超成長株です。
内容は各種論文で発表された検証データ(エビデンス)から有効であることが分かっている事象(ex.低PER戦略)を組み合わせて投資しましょうというものです。
過去の検証データから導かれた法則に従って投資するという部分はシステムトレードそのものでは?と思うのですが、著者自身はブログでシステムトレードに関しては興味がないと言っています→医学と投資についての随想 (KAPPA)
科学的に調査・公表されたものでなければ信用してはいけないということですね…厳しいです(笑)
本書で紹介されている方法はリーマンショックではあまり力を発揮できなかったらしく、その後は「週末投資家のためのカバード・コール 」「超・株式投資」とオプション売買に移行されています。
また、ちょっと前まで「EBIのすすめ」という書籍と同じ内容のブログがあったのですが閉鎖してしまいました。私は当時からファンだったので全ページ印刷して今でも大切に持っています。
ジャンルとしてはバリュー株投資になると思いますが、巷に溢れている「ウォーレン・バフェットが…」「PERを見れば…」などと言うだけの本とはレベルが違います。
ぜひ一読されることをおススメします。

コメント

  1. nemui より:

    ttp://www.4gamer.net/games/999/G999905/20141226033/
    任天堂の社長の対談です、なぜソーシャルに行かないかっていう話も4ページ目に載っています。
    事業として成功うんぬんよりゲームの価値とその土壌という側面からやんない。なんにせよこの人ものすごく話が面白いです。

    • 田中清 より:

      全部読みました。無茶苦茶面白かったです!
      「世の中でコンテンツの価値がなくなる,低くなるというのが最悪の未来」ですか、岩田さんの言葉は分かりやすいですね。
      「従来のビジネスモデルに固執している」という分析は的外れだったようです…(笑)

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