私的相場感 -トレーディング=ギャンブル-

相場観の違い

この間リツイートした文章。

Twitterやブログを巡回していると、たまに「○○な理論は間違えている!」「相場について何も分かっていないバカだ」といった論調で他人の投資スタイルをdisっている人を見かけます。
人間とは自分のやっていることが唯一正しいと思ってしまう生き物で、中にはわざわざリプライを飛ばしてまで絡んでくる輩もいます。

そこまでいかなくても、このブログに来られる方が私とは別の相場観を持っていた場合、書いてあることに反感を覚えることがあるかもしれません。
基本的に批判・クレーム・感想何でもウェルカムなのですが、読んだ時間が無駄だと思われるのは悲しいので、今回は私がどういう考えのもとトレードしている人間なのか書いておきましょう。

※本文が無駄に長いです。読むのが面倒な方は→まとめへ飛ぶ

トレーディング=ギャンブル

まず、株でもFXでもトレーディングで利益を出そうとする行為はかなりギャンブルに近いと思っています。
ギャンブルの定義とは何だ?と聞かれるとちょっと困ってしまうのですが、イメージとしては損益の総和が0(ゼロサム)でその値動きはランダムのため直近の予想はかなり難しいゲームということになります。

もっと具体的に言うと、情報が価格時系列データしかない場合は将来価格(やその方向性)を予測することはできない・・・つまり相場の行方を占う目的でチャートにラインを引いたり一般的なテクニカル分析を行うのは無意味という見解です。
もうこの時点で一部の方からは批判を受けそうです(笑)

保険として最初に断っておきますが、これからお話するのはランダムウォーク理論や弱定常性のような専門的なものではありません。ファットテールとかその辺の話もなしです。
「株価は実体経済とリンクするから長期的にはプラスサムだ」「負けている相手が業務コストとして損失を引き受けてくれる場合はトレーダー全員が勝つこともある」といった議論もそれはそれ、これはこれとして飛ばします。

値動きの予測はかなり難しい

「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」と言います。
まずは我々が戦うべき敵=相場とはそもそもどのようなものなのか私の考えを述べておきます。

先ほど「相場はギャンブルのようなもので、その値動きはランダム」と書きました。
これは「教科書にそう書かれているから」といった理由で言っているのではありません。
過去データを検証してみると、私のような一般人からはほぼランダムにしか見えないからです。

「SMAはトレンドを表すので、それを上抜けしたということは上昇トレンドに入ったということ」なんてよく言いますよね。

本当でしょうか?
USDJPYの1時間足で、12SMAと終値のクロス順張りでEntry、 \pm 50pipsでExitというロジックでバックテストしてみます(コストなし→0.1pips)

SMA_blog_201507

・・・勝率は50%、PFは1です。
当たるかどうかは半々、損益も合計すると \pm 0のロジックで相場予測ができてるとは言わないでしょう。

「ボリンジャーバンドの \pm 2σ以内に入る確率は95%、だから抜けてもすぐ元に戻る」なんてのもありますね。
USDJPY1時間足、期間は9、シグナル発生後 \pm 50pipsで手仕舞いしてみましょう(コストなし→0.1pips)

bollinger_blog_201507

やはり勝率は50%、PF1です。これ以上は時間の無駄なのでやめておきます。

1時間足でバックテストしたのは試行回数を増やすためですが、日足だろうが短い足だろうが十分な時間・試行回数を重ねれば結果は同じです。
私も書籍やWEBにある情報は一通り試してきましたが、値動き予想について明らかに優位性のあるものは皆無でした。
価格時系列データのみしか情報がない場合、そこらへんに転がっているような手法では武器にならないというのが私の結論です。

「そりゃお前が理解できるような簡単なやり方じゃできなくて当たり前。もっと複雑なモデルなら可能なはず」ですか?
計量経済学や経済物理学など、いわゆる賢い人達が使うような手法はどうなんでしょう。

FXシステムトレーダー界隈の有名人でくーちゃんという人がいます。
Ku-Chartと呼ばれる通貨強弱の可視化インジケータを開発したスゴイ人で、いろんなブログに現れてはコメント欄に相場の本質をつくような発言を残していきます。
長年(30年以上?)相場に携わってきた経験から発せられるその言葉は若輩者にはまるで素敵なプレゼントのよう。おそらく出身はグリーンランドでしょう。

その方が数年前の日付でこう書いてました。

ku-chart くーちゃんを待つブログ のコメント欄より引用~
古典的な移動平均に始まり、高度なデジタルフィルターやGA(遺伝的アルゴリズム)やニューラルネットを使ったパターン認識、AR(I)MAモデル、ベイズ推定、カルマンフィルターまで使ってもnが十分大きい試行において勝率は高くて60%程度です。65%もあれば超一流です。
(10回の試行で6回勝てるのと1000回の売買で600回勝てるのは全く意味が違います。また600回勝てても損失>利益なら無意味です。更に、バックテストでその成績が出たからといって、将来を保証するものでは全くありません。損切りしないEAなら勝率100%もあるかも知れませんが、それはインチキです。)

とあるMetaTraderの備忘秘録 のコメント欄より引用~
最初のころは、移動平均の最適化(爆)、トレンド分析、続いてFFTやMEMを使って波動を分析しようなんてやってましたし、ニューラルネット(主にBP)・パターン認識も随分テストしてみました。
その結果、身にしみてわかったことは、相場を予測しようとした時、トレーディングシステムは破綻するということです。
時系列データであれば、FFTにかけることはできますが、株価は「音」のように「繰り返す波」ではありません。
(まあ、株価の場合(しかも「個別」ではなくマーケット)2年~3年の間に弱いピークは見られますが・・・)
で、予測はあきらめました。
今は、大分謙虚(爆)になりまして、如何に損失を抑えながら、相場に「ついていくか」だけを考えています。

何でもスゴイ人が言ってるからという理由で鵜呑みにするのは危険ですが、「価格時系列データのみから値動きを予測するのは相当難しい」と考えた方が無難なのです。

※補足
相場予測はどんな人でも不可能と言っているわけではありません。
時系列以外の外部データを使って精度を上げることは可能でしょうし、独自の視点で予測できている人も稀に見かけます。
しかし私には無理です、それだったら初めから予測するのは諦めようというスタンスです。

まずは生き残ること

さて、このように先の予測が困難な場所で我々は戦っているわけですが、そもそも勝ち組の利益というのはどこから生まれているのか考えてみましょう。

相場と言うのは買い手と売り手がいて初めて成立しますので、買い手が儲かれば売り手は損をし買い手が損すれば売り手が儲かることになります(当たり前ですね)
これはつまり投資家全体の損益を足せば総和は0(コスト入れればマイナス)になるということですが、この状況下で勝ち組に入るためには、ブローカーでないなら負け組から利益を奪ってくるしか方法はありません。

ではどうすれば負け組みの利益を奪うことができるのでしょうか?
言い古された言葉かもしれませんが、最初に考えるべきなのはいかにして退場を避けるかです。

相場では「これをすると破産へのスピードが速くなる」という行為がいくつかあります。
レバレッジをかけすぎる、不利な局面でも参加してしまう、状況が悪くなっても損切りしない・・・
これらを避けてプレーするだけで、チャンスが増えるだけでなく勝つ確率も同時に上がります。

なぜ確率が上がるのか、それはルールを知らない・守らない人間が必ずいるからです。
いますよね?ナンピンは悪手だと分かっているのに、損を出すのが恐くてズルズル引きずった挙句ロスカットしちゃうような人。

自分が得る利益の源泉は負け組みの損失なので、相手が失敗してくれればそれだけ多く賭場にお金が出ることになります。
そして賭場に出たお金の一部が自分に回ってくることで結果的に勝つ確率を上げることができる・・・私はそう考えています。

場に居続けるためのルールの遵守、まずはこれを最優先にします。

ランダムな値動きの中にある歪みを捉える

上記のルールを守ればより長く相場に踏み止まれます。
しかし相場予測を諦めたとすると、利益を出すには自分に運が回ってくるまで待つしかない・・・そうではありません。

確かに大きな試行回数で見ると値動きほぼランダムに見えるのですが、あくまでもそれは俯瞰した場合の話で、実はその中には多数の歪みがあるのです。
その歪みをうまく利用してやれば収益を継続的にあげることは十分可能となります。

以下は私が実際に使用している日中変動のある特長を利用したEAです。

FPE_blog_201507

非常にシンプルなロジックを採用しているのですが、市場に存在する歪みをうまく捉えられた結果継続的に利益を出すことに成功しています。
過去13年においてこの歪みはそこそこ機能しており、シュミレーション通りの結果になっています。
もちろんナンピンなんて使っていません(ナンピンブログでこういう言い方はどうかと思いますが)、1取引1万通貨固定で賭けてるだけです。

実運用では上記ロジックにあるフィルターを加えて動かしていますが、MT4のバックテストでは再現が難しいので原理部分だけでバックテストしました。
それでもコストが1Pipsならレバレッジ10倍で年利50%くらい取れる戦略です。3Pipsでも年利15%くらいならいけると思います。

こうした歪みを捉えることができれば、それが修正されない限り利益を上げることができます。
先のEAは勝率80%となっていますが、あえてそうなるように調整しているだけで戦略自体の優位性は55~59%くらいです。
これくらいであれば努力すればそこそこ見つかります。

ただし周りも同じ戦略を始めればお話は終わりです。永久に稼げるわけではありません。

このようにランダムな値動きの中にある歪みをどう見つけるか、言い換えれば自分のロジックが勝てる成分をいかに抽出できるかがトレーディングで勝つための鍵だと思います。

以下のチャートは直近のAUDJPY日足です。

AUDJPY-a01Daily

①の期間だけうまく抽出するようなフィルターがあればトレンドフォローで利益が出ますね。
同様に②の期間は回帰、③の期間はスキャルピングがやりやすいかもしれません。
全体で見るとスワップ派でも利益が出ます。

このように、システムが利益の出る成分をうまく抽出できるものであればトレンドでも回帰でも何でも儲かります。
テクニカル、ファンメンタル、長期、短期、インデックス、バリュー、グロース、優待、需給、デイトレード、スイング、スキャル、鞘取り、etc・・・
どれが正しくてどれが間違いとかないです。儲ける方法はロジックの数だけあるのです(他に比べリスクが低い・利益が上がりやすい等の違いはあります)

これまでの話を聞いて「値動きを予測するのは無理だと言っていたのに、相場の中にある歪みを利用することは結局それが起こることを予測していることになるのでは?」と思った方がいるかもしれません。

なかなか伝わりにくいのかもしれませんが、歪みの発生についても私は予測することはできないと思っています。
しかし統計的にそうした歪みが発生することを期待することはできます。

例えば「この節目を割ったらそこから上昇していく確率が高い」なんて言いますよね、予想通りにいかなければ「押し戻された・騙しだった」となります。
私が言っているのはそうしたニュアンスです。

歪みが出るのは期待できてもそれがいつ起こるかまでは予測できない、しかし十分な時間・試行回数を重ねれば統計的に優位であると考えられる。
歪みの発生に立ち会うためには常に相場にいる必要があります。生き残ることを最優先にしているのはチャンス(歪み)は無数にあるという考えからもきています。

そしてこうした歪みの成分をできるだけ効率的に抽出するにはどうすればいいのか・・・そのような考えの元トレーディングをしています。

まとめ

・値動きの予測は自分には難しすぎるので諦める

・できるだけ長く賭場に居続けることで負け組のお金が回ってくるはず。まずは生き残ることを最優先にする

・ランダムな値動きの中にも多数の歪みがあり、それを抽出できるならどんな手法でも儲けることができる

・歪みが出るのは期待できても、それがいつ起こるかまでは予測できない。できるだけ長く相場にいて、その時が来るのをじっと待つ

以上です。

追記①

バックテストやデモ口座でいい結果が出ても、実際に運用してみるとスリップページ・スプレッドの関係でシュミレーション通りの結果にならないことがよくあります。
読者の中にも「本文で紹介したEAも実際は利益なんか出ないんだろう?このふかし野郎が!」なんて思った人がいるかもしれません。

なので2015年9月末から3ヶ月間取引をMyfxbookで記録してみました。
ナンピンEAが完成せず、ちょうどFXCMの口座が余ってましたし(汗)

トレーディング結果 3ヶ月_1 修正
トレーディング結果 3ヶ月_2. 修正2PNG

画像が粗いのはわざとではありません。これ以上鮮明にする方法を知らないだけです。

たった3ヶ月、しかもトレード回数が27回しかない(普段はもう少し多いのですがこの時期はシグナルがあまり出ませんでした)記録ですが、一応利益が出せると信じてもらえれば幸いです。

見ていただきたいのは赤○で囲った部分で
・ちゃんとReal口座でも利益が出ている
・平均獲得pipsは勝ち:6.51pips 負け:-13.15pips。勝率はL:100% S:85%。いわゆる利少損大システムだが期待値が+なので継続的に利益が積み上がっていってる
のが分かると思います。

ちなみにPFが6.13となっていますが、これはたまたまです。もっと長期で運用するとあるべき値に収束していきます。
またシャープレシオやZスコアが低いのは仕様です。

追記②

記事の中でちょこっと触れたからでしょう、Ku-Chart作者のくーちゃんがフォロワーになってくれました。

follow2

最初「えっ、なんで私みたいな弱小トレーダーをフォローするんだ!?」と驚いたのですが、そういえばKu-Chartについて書いてたんだと気づきました。
その記念といっては何ですが、時間ができたらこのインジケーターについて記事にしたいと思います。

スクリプトは既に優秀な先人達が公開していますので、自分はノンプログラマーでも理解できるようこのインジケーターの意味するもの、どういう原理で作られているのかという部分を解説するつもりです。
まぁいつになるやら分かりませんが・・・

また今回のことをきっかけに、くーちゃんについて過去に調べた情報を漁っていると週間SPAに掲載された時のものが出てきました。
それによると「Ku-Chartを利用して1日170回のトレードを繰返し700pips以上を抜いている。レバレッジ5倍で1年で2.5~3倍にできる」とのこと。
・・・ヤバすぎワロタですね。

書評
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★★★★☆(4/5)
(編集中...)

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